◆文学、芸能に登場する桜川 ◆

古くから桜の名所として歌に詠まれた桜川の桜。
その中の代表的なものを紹介します。

つねよりも 春べになれば さくら川 波の花こそ まなくよすらめ
 
紀 貫之
世と共に 流れて久しさくら川 花のしずくを水上にして
  橘 枝直
桜川 汀の氷とけそめて 春をよせ来る波の初花
  橘 千蔭
みなかみの 木々のしづくのさくら川 花とともにや落つもりけん
  尊澄法親王
風吹かば 波も幾重のさくら川 名に流れたる波の音かな
  御九条 内親王
秋の夜は 月ぞ流るる桜川 花はむかしのあとのしらなみ
  宗尊親王
散るや今 波にも花の桜川
  近衛三貌院信伊
水上や まなくちるらんさくら川 流れの末も花の香ぞする
桜川 末の世まてもその人の ことはの花ぞ流れつきせぬ
  内藤義泰
身にかへて おしむ桜の命をば 古の花さくや姫ぞまもらん
  加藤 熙
 
■また、桜川は、謡曲「桜川」の舞台としても有名です。
  「桜川」は桜川磯部稲村神社に伝わる花見噺「桜児物語」をもとに、
  世阿弥がつくったものです。
 

◆謡曲「桜川」あらすじ

九州日向国(宮崎県)桜の馬場の桜子は、東国方の人商人にわが身を売り、
その身代金と手紙を母に渡してくれとたのみ、国を立ちます。
母は人商人から手紙を受け取り読んでみると、母の貧しさを悲しむあまり
身を売りました、名残惜しいが、母上もこれを縁に御出家下さいとあります。
驚いてあたりを見ると、もう人商人はいません。母は嘆き悲しみ、
氏神の木花咲耶姫に我が子の無事を祈り、その行方を尋ねて旅に出ます。
それから三年が経ち、常陸国(茨城県)桜川は丁度桜の季節です。
桜子は磯辺寺に弟子入りしており、今日は師僧に伴われて近くの桜川という
花の名所にやって来ます。
里人は、桜川に流れる花を抄って狂う女がいるから、
この稚児に見せてやればよいとすすめます。呼び出された狂女は、
九州からはるばるこの東国まで、我が子をもとめてやって来たことを語り、
失った子の名も桜子、この川の名も桜川、何か因縁があるのだろうが、
春なのにどうして我が子の桜子は咲き出でぬのかと嘆きます。
更に、桜を信仰するいわれ、我が子の名の由来、桜を詠じた歌などを語り、
散る花を抄い上げ興じ狂います。僧はこれこそ稚児の母であると悟り、
母子を引き合わせます。二人は嬉し涙にくれ、連れ立って帰国します。

 

紀貫之歌碑
 
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